一般的な離乳食のお話 監修:太田百合子先生(管理栄養士)
離乳食のQ&A
- 離乳食を始めましたが、なかなか慣れてくれません。
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開始時期は、慣れるための練習ですから根気よく進めていきます。スプーンは口の奥に入れるのではなく、下唇に置くようにして自分から食物をとらえるようにしてあげるのがコツです。食べる量は気にせずに、「おいしいよ」とやさしく誘って、食べることを楽しめるように働きかけるだけで大丈夫です。泣いていやがる場合には、無理強いしません。口を閉じて嫌がるようなら2~3日お休みしてもいいでしょう。少し授乳をして落ち着いたところで与えると食べることもあります。
・スプーンにのせる量は少なめに。
・ポタージュ状の形態に。
・ママ・パパも緊張せず、リラックスして。
・ラックに座らせるだけでなく、だっこして与えてみても。
- 食べたものがそのまま便に出てしまいました。消化されているのでしょうか。
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食物繊維の多いにんじん、ほうれん草、とうもろこしなどはそのまま便となって出てくることがあります。機嫌がよく、食欲もあり、便もやわらかすぎていなければそのまま与えてかまいません。徐々に、消化する力がついてくるので気にすることはありません。咀嚼機能に合っていることが大切なので、口の動きを見て形態を調整していきましょう。便がゆるいようなら、すりつぶしたり細かくしてください。
- 乳児健診でアトピー性皮膚炎と言われました。離乳食を食べさせて良いのでしょうか。
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赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が弱くなり、アレルゲンが体の中に入りやすいことから、食物アレルギーになりやすいことがあります。アトピー性皮膚炎の場合は、まず医師の指導を受けて日常的なスキンケアを行なうことが先決で、離乳は普通に進めます。初めて口にするものは、少量を食べさせて、じんましんやかゆみ、嘔吐、下痢、咳などの症状がないか確認していきます。食べた直後から2時間以内に症状が出ることがあるので、小児科の診療時間内に食べさせます。
- 太りすぎのような気がします。ダイエットしなくていいですか。
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赤ちゃん時代は、肥満の心配をする必要はありません。大きくても、身長と体重の身体発育曲線のラインに沿っているならその子の個性と捉えます。急に体重が増加しているようなら、早食いや丸のみをしていないか、食事内容はバランスがとれているか、ダラダラ食べをさせていないか、菓子・嗜好飲料などを与えていないかなどをチェックしてみましょう。1歳をすぎて歩けるようになり、活発に遊べるようになれば、自然にからだもひきしまってきます。親子共に早寝早起き等健康的な生活を心がけましょう。
- ミルクを飲む量が急激に減りました。離乳食を増やしていいですか。
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離乳食の量が増えると、離乳食後の母乳やミルクを飲まなくなることがあります。少量でも離乳食後は飲みたいだけ与えます。それ以外の授乳時間に普通に飲むならば問題ありません。離乳食を開始すると一時的に飲む量が減ることもありますが、少し様子を見ましょう。体重が増えない、あるいは減る、または夜中の授乳がひんぱんになるようならば、ほ乳瓶や乳首を変えて授乳量を増やしたり、離乳食を増やします。心配ならば医師に相談しましょう。
- 元気でよく食べますが、食べるとすぐに下痢します。
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離乳食を開始すると、下痢や便秘になることがあります。胃腸の消化機能が未熟なためによくあることです。赤ちゃんによっては1日何回も下痢状の便が出ることもあるので、おしりのケアはきちんとします。機嫌がよいようなら、同じように続けてもかまいません。食材ではにんじんやりんごなどのペクチンを増やすことで下痢を予防することもできます。水様便や、赤ちゃんの機嫌が悪いようなら一度医師に診てもらいましょう。
- 6ヶ月検診で太りすぎと言われ、気を付けているのに体重が増えるばかりです。
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赤ちゃんは日々成長して体重が増えていきます。健診では体重と身長を身体発育曲線に記入して太りすぎかどうかを判定しますが、この時期の肥満は心配ないとされています。
成長の速度には波があります。これから、はいはいやつかまり立ちで活発に動くようになると1~2才で普通になることがほとんどです。離乳食や母乳・ミルクの量を制限する必要はありません。日中は、お散歩に出かけたりしながら生活リズムを整えていきましょう。
- 現在7ヶ月半で、食後にミルクを飲みません。3回食に進めてもよいですか。
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食後にミルクをのまなくなることはよくあります。それ以外に母乳やミルクをのんでいるなら、問題ありません。体重の増え方が順調ならば、消化機能に負担がかからないように、しばらく2回食でも大丈夫です。
- 離乳食は大好きでよく食べるのに、体重が増えません。
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よく食べてくれて作りがいがありますね。きっと活発なお子さんで、よく動くのでしょうね。体重がそれほどふえなくても、身長が伸びている時期かもしれません。身長と体重をグラフに記入してラインに沿っているなら心配することはありません。機嫌もよく活発で健康ならば、それがその子なりの成長の個性なのです。あまり気にしなくてよいでしょう。
- 離乳食が大好きで、与えればいくらでも食べてしまいます。
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赤ちゃんのほうから喜んで食べるのであれば、目安の分量を多少上回っても心配ありません。目安はあくまでも目安で、食欲や食べる量には個人差があるのです。離乳食の形態をステップアップして、みじん切りから粗みじん切りや角切りなどにしてみてください。「次は何かな。にんじんかな。」というように声がけしながらゆっくりと与えてみましょう。消化に負担がかからないようにある程度のところで終わりにして母乳・ミルクは飲みたいだけあげましょう。
- 市販のベビーフードが大好きで、手づくりの離乳食を嫌がります。
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離乳食は舌ざわりやとろみで食べるので少しでもかたいと食べないことがあります。その点ベビーフードは、お子さんにぴったりのとろみなのでしょう。市販のベビーフードだけでもかまいませんが、季節感のある野菜や果物を添えたりしてバリエーションを加えてください。作る際には、ベビーフードを食べてみて軟らかさ、味などを参考にしてみましょう。
- 魚や肉はおかゆに混ぜないと食べてくれません。
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たんぱく質性食品は加熱すると硬くなるという性質があります。よく火を通した魚や肉は、口当たりがポソポソしているので、食べにくいためです。魚をほぐしてそのまま与えるよりも、ホワイトソースや片栗粉でとろみをつけたり、おかゆやうどんやいも類に混ぜたほうが食べやすいでしょう。ひき肉は加熱すると魚以上に硬く食べにくくなります。軟らかい鶏のささみを包丁でたたいてすりつぶしたり、ひき肉状にしたもの(ささみを冷凍しておろし金でおろしてもOK)を使いましょう。
- 食が細くて、なかなか3回食にできません。
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同じように離乳をスタートした赤ちゃんでも、ずいぶん個人差の出てくる時期です。どうしても3回にしなければならないわけではありませんが、さまざまな面から食の細い理由を考えてみましょう。
・食が細いのを心配して、母乳やミルクをちょこちょこと日に何度も飲ませていませんか?
・手づかみに興味が出てきたので、持ちやすいビスケット、せんべい、赤ちゃんボーロなどのおやつを与えすぎていませんか?
・健診などで「薄味にしましょう」と言われて、調味料を使うのをやめてしまっていませんか?
・睡眠時間や遊びなども含めて、規則正しく健康的な生活のリズムができていますか?
特に心配な原因が見つからなければ、分量が少ないなりに、栄養のバランスのとれたメニューを進めてください。3回食のスタートは、それまでの2回食をメインに、あとの1食は少量から始めてみましょう。
- 3回食にしたら、「むら食い」になってしまいました。
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順調に発育していればいるほど赤ちゃんの食欲に波があるのは自然なことです。むら食いはこの時期の特徴的な食べ方で、今まで与えられるだけだったことより、自分で食べる「自食」への第一歩のあらわれです。前の食事時刻や食べた量、そのときの気分、昼寝の仕方などによっても大きく左右されますから、無理強いしないようにしましょう。一週間でならしてみると、いろいろ食べているなら心配いりません。
- 赤ちゃん用に作った離乳食よりも、家族の食事を分けてもらうのが好きです。
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1日3回ともなると離乳食づくりが大変になって、メニューがマンネリ化してきます。赤ちゃんも、家族の仲間入りをしたくて、同じメニューのほうが喜びます。家族と一緒の時間に食事をするときは赤ちゃんにあわせた食事時間にしましょう。特に夕食時間が遅くならないようにしましょう。しかし、まだまだ大人の食事をそのまま与えるわけにはいきません。次のことに注意してください。
・家族の食事は栄養バランスを心がける。
・家族用の味付けをする前に赤ちゃんの分を取り分け、赤ちゃんの分は薄味にして、香辛料は控える。
・細かくつぶしたり、電子レンジで加熱して軟らかくするなど、赤ちゃんの咀嚼力に合わせて手を加える。
・パサパサしている場合には、スープやケチャップ、ベビーフードのソース類などを加えて食べやすくする。
- 3回食をしっかり食べているので、そろそろミルクをやめて牛乳にしていいですか。
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9ヶ月頃になると、鉄分不足による貧血になりやすくなります。牛乳は鉄・ビタミンDがほとんどありません。牛乳をたくさん飲むと、鉄の吸収が阻害されたり腸管出血も起こることがあり、さらに貧血を起こしやすいという理由から1歳以降が望ましいです。1歳まではミルクか、9ヶ月から使用できるフォローアップミルクでもよいでしょう。フォローアップミルクは、牛乳の代替品として作られた栄養強化食品です。栄養が足りているようなら必要としません。
- 自分で食べたがり、食べ物をおもちゃにして遊びます。しつけはしなくて大丈夫でしょうか。
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この時期の赤ちゃんは、意欲的に何でも自分で試してみようとします。遊んでいるように見えますが、自分の手で触れ、それを口に運んで感触を確かめています。発達上、重要な役割となっているので、パン、じゃがいもやにんじんなど手で持ちやすいようにスティック状にして触れさせてあげましょう。
食べることに集中できる声かけは必要ですね。また、遊びはじめるのはお腹がそろそろいっぱいになった証拠。「ごちそうさまかな」と声をかけてみましょう。こぼしたり、遊んだりするので、ちょっと忍耐が必要かもしれませんが、赤ちゃんの意欲を持たせるには大切です。2歳になる頃には上手に食べられるようになるので、気長に見守ってあげてください。
- スプーンがまだ使えないし、なかなか自分で持って食べようとしません。
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スプーンを持つようになるのは1歳頃ですが、手首をうまく動かせないことから手づかみ食べが中心です。スプーンを使えるようになるためには、食べ物を自分の手で持って食べるというステップが必要です。手でさわってもベタベタしないせんべい、おにぎり、スティック状のゆで野菜やいもなどで手づかみするものを用意しましょう。スプーンに興味を持ったら、立ち上がりのある器や茶碗、スプーンとヨーグルトやポタージュなどすくいやすい料理も用意します。子ども自身がいつでも使えるように置いておくだけで大丈夫です。食事は楽しい雰囲気の中で食べましょう。
- 食事中じっとすわっていられません。子どもの後を追いかけて食べさせているのですが…
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歩けるようになった子どもは、それまでとは全く違った世界が開けて、周囲のあらゆることがらに興味津々です。相対的に食事への興味は低下して、食事時間がきても見向きもしないことだってあります。
おなかの空いた状態で食事時間を迎えられるように環境を整えましょう。
イスとテーブルの高さが体に合っていないことがあるので、足裏がついているか等を確認しましょう。追いかけて食べさせるのは無理強いにつながります。声かけしてももどってこないようなら、おなかが空いていないということなので片付けましょう。一食くらい抜いても気にせずに、食卓にみんなでいることを楽しめるようにしていきましょう。
- この頃、偏食になってきたようで困ります。
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お誕生日を過ぎる頃には、食事が自分の好みの味や口当たり、舌ざわりに合っていないと、口から出したり、口を閉じたりして、いやなことを態度ではっきりと示すようになります。自分の好みを表現できるようになったのは成長の証拠です。
この時期の好き嫌いは一過性のことが多く、そのときの気分や料理法によってかなり変わります。嫌がる場合にはその食べ物を与えるのを控えましょう。しばらくしてから調理法を変えて何気なく与えてみれば、食べることが多いものです。あるいは、調理前の食材を見せたり、ふれさせたりすることで食べることがあります。