昼と夜の長さが同じくらいになるといわれている春分。日が暮れる時間が段々と遅くなってきましたね。春分の日の前後3日間は春のお彼岸です。「暑さ寒さも彼岸まで」というように、日増しに風が暖かく感じられるように なりました。今年の桜の開花は例年よりも早いと予想されていますが、お近くの桜の木々はいかがでしょうか。 ポカポカと暖かい日はお出かけもよいですが、普段あまり使わない食材を用いて料理をしたり、少し手の込んだ料理を作ってみたりすると、ゆったりとしたいい時間を過ごすことができます。今の生活に合った、自分なりの楽しい余暇の過ごし方を見つけて、 4月から始まる新年度を元気に迎えられるといいですね。
たらの芽
「山菜の王様」とも呼ばれ、独特の苦味、香り、食感が人気のたらの芽。 ふきのとうによく似た雰囲気ですが、ふきのとうのように地面から芽を出すのではなく、タラノキという木の新芽の部分を食します。 天ぷらにしたり、サッと茹でて和え物やおひたしにしたり、アク抜きをしなくてもすぐに食べられます。鉄や葉酸、ビタミンE、食物繊維などが多く含まれており、山菜の中では栄養価が高い点も、「山菜の王様」と呼ばれる所以となっています。この他にも、食べたものをきちんとエネルギーに変えるために必要な、ビタミンB群を多く含んでいることも特徴です。下処理が必要ないことから、手軽に調理できる山菜の一つです。3~5cmくらいの芽が少しひらいたものがおすすめです。
肉巻きの野菜の代わりに巻いてみるのもよいでしょう。春の味わいをご自宅で…是非一度お試しください。
にら
香りが強く、炒め物や餃子、キムチ、もつ鍋などには欠かせないにら。少量を入れるだけでも、アクセントとなり、食欲が湧いてきますね 。 香り成分は硫化アリルの一種である「アリシン」という成分で、アリシンはビタミンB1と結合することにより、長時間体内に留まり、糖質の代謝を助けるといわれています。ビタミンB1は豚肉に多いため、にらと豚肉を一緒に調理したレバニラ炒めや餃子といった料理は、糖質を効率よくエネルギーに換えることができ、活動的に過ごしたい時におすすめです。 また、にらには体内でビタミンAとして働く βカロテンが豊富に含まれており、皮膚や粘膜の健康を助けます。花粉症のひどいかたや感染症を予防したい方は、刻んで料理に入れるなどして、積極的に摂るとよいでしょう。葉の緑が濃く鮮やかで、つやのあるもの、厚みがあり葉先までしっかりの伸びているものを選ぶとよいでしょう。
ニラのジェノベーゼ風パスタは、1食で摂取したい栄養素の多くを摂る事ができる栄養満点メニューです。 前述のアリシンは細かく刻むほど増えるため、バーミックスで細かくしペースト状にするジェノベーゼソースはおすすめの食べ方です。ベーコンは豚肉が原料のため、ビタミンB₁もしっかりと摂る事ができ、活動的に過ごしたい方におすすめの一品です。
クレソン
洋食の付け合わせとして料理の飾り付けによく用いられるクレソンですが、ほろ苦さやピリッとした辛味を生かし、生のままサラダにしたり、茹でて和え物にしたり、炒め物にしたり、青菜のような感覚で調理できます。カルシウムや鉄といった不足しがちなミネラルや、糖質代謝に欠かせないビタミンB群が豊富に含まれおり、付け合わせだからと食べずに残してしまうと勿体ないほど栄養価が高く、食味もよい野菜です。小さく刻んでじゃこと一緒に炒めてふりかけにしたり、炒飯にしたりするとカルシウムや鉄を手軽に摂る事ができ、成長期のお子様や妊産婦さんにオススメです。
クレソンとじゃがいもをバーミックスで滑らかに仕立てたクリームスープは、クレソンの入っていない通常のじゃがいもスープと比較すると、カルシウムは約2.3倍、鉄は約1.6倍多く含まれています。またクレソンは、粘膜を正常に保つために必要なビタミンAも豊富な食材です。ビタミンAは油と一緒に摂ると吸収率が高まりますので、バターや生クリームを使用する今回のレシピは、おすすめの食べ方といえます。
鯛
鯛は産卵期前の春と、産卵期を終え脂ののった秋の年2回旬を迎えま す。それぞれの季節にちなんで、春の鯛は「桜鯛」、秋の鯛は「もみじ鯛」 とも呼ばれ、味がよいのが特徴です。 鯛にはオメガ3系の脂肪酸であるDHAやEPAも多く含まれています。これらは青魚に多いことが知られていますが、青魚の苦手な方は鯛からも摂取することができます。皮膚の健康維持を助けるため、季節の変わり目に肌荒れを起こしやすいという方は意識して取り入れられるとよいですね。また、寒さやおこもり生活による運動不足、食べ過ぎといった要素が重なると血栓ができやすくなっています。オメガ3系の脂肪酸は血栓ができるのを予防する働きもあるといわれていますので、何か心当たりのある方にもおすすめの食材です。この他にもたんぱく質や骨の健康に必要なビタミンD、 神経などの健康を保つために必要なビタミンB₁₂を豊富に含んでいます。
あさり
春の行楽シーズンになると、毎年潮干狩りをしている映像を目にしますね。春~初夏と秋に産卵期を迎えますが、産卵期前のあさりは身が大きくなります。
あさりにはカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛といったミネラル類や造血に関わるビタミンB12が豊富に含まれています。貧血になりやすい成長期のお子様や女性は蒸し料理やパスタ、スープなどにして取り入れるとよいでしょう。また、貝類全般に多く含まれる亜鉛は免疫反応に関与しており、不足すると感染症にかかりやすくなるといわれています。加工食品に含まれる食品添加物は亜鉛の吸収を阻害するため、亜鉛が不足しがちです。免疫力を上げるためにも、料理を手作りする機会を増やすことをオススメします。
あさりのサフラン蒸しは、簡単な調理でありながら素材のうまみを堪能できる一品。栄養素を見てみると、特に鉄とビタミンB₁₂は1食で摂取したい量をしっかりと摂る事ができます。彩りに散らしたパセリは、実はビタミンCが豊富な食材。一緒に摂る事でカルシウムや鉄、亜鉛の吸収率を高めてくれます。
桜えび
素干しにした桜えびは年中出回っていますが、生の桜えびが獲れるのは 春と秋の合わせて40日のみ。さらには国内で水揚げされるのは静岡県のみということで、国産の生の桜えびは限られた場所、限られた期間にしか食べることができない希少なものになっています。釜揚げにしたものをご 飯にのせて食べたり、生のままかき揚げにするのが定番の食べ方です。
素干しにしたものは旨味が強く、幅広い料理に使うことができ、混ぜご飯やパスタ、お好み焼き、エスニック風のサラダや炒め物などによく合います。何といってもカルシウムの含有量が抜群に多く、少量で牛乳1杯分のカルシウムを摂ることができます。
レシピの桜えびごはんと通常の白いごはんの栄養素を比較すると、カルシウムは約27倍も多く含まれていることが分かりました。また、食べたごはん等の糖質をエネルギーに変える際に必要なミネラル、マグネシウムも約2倍摂る事ができます。同じ量のごはんを食べても、桜えびを加えた方がよりエネルギーに変えることができるのです。また意外に摂取できる栄養素が葉酸。葉物野菜に多い栄養素ですが、実は桜えびにも含まれています。
(文/グラフ デザイナーフーズ株式会社)