作物にとっては恵みの雨。穀雨の頃は、春の雨で田畑が潤い、種まきや田植えに最適の時期となるため、昔から農作業を始める目安とされてきました。穀雨の次候は「霜止出苗(しもやんでなえいづる)」というように、この頃には霜が降りなくなり、段々と雨の日が増えてくると言われています。季節はすっかり初夏に向かって進んでいますね。 新年度が始まり、皆様忙しくお過ごしではないでしょうか。慣れない環境や生活リズムの変化によって、体がストレスを感じ、緊張状態が続いていると、自立神経の乱れによって体調不良を起こしがちです。そんな時こそ、まずは3食食べることを心がけましょう。体内の自律神経は交感神経と副交感神経がバランスを保ちながら調節しており、食事をすると、体を休める時に働く副交感神経が優位になります。食事は、栄養を摂るためだけのものではないのですね。規則正しい食事と睡眠でしっかり休養を取りながら、体を整えていきましょう。
絹さや
料理の彩りとして使われる絹さや。煮物、焼き物、ご飯ものなどの添え物として少量で清々しい印象を与えてくれます。風味もよく、汁物に入れると春らしい香りを感じられます。βカロテンが豊富で、緑黄色野菜の一つとなっています。絹さやのキッシュは材料のラウデミオや生クリーム等の油分が絹さやのβカロテンの吸収を高めてくれます。また、ビタミンCやビタミンB1、葉酸といった水溶性ビタミンも豊富に含まれています。中でもビタミンCの含有量は冬のほうれん草と同等の量が含まれています。ビタミンCは熱に弱く、水に溶けやすいため、効率よく摂るためには、サッと茹でる、または汁物に入れる場合は仕上げに加えるとよいでしょう。免疫機能の低下を引き起こす活性酸素の働きを抑えると言われているビタミンC。活性酸素が体内で作られる要因の一つにストレスがあります。ストレスを感じている方はビタミンCの豊富な野菜を積極的に取り入れるようにしましょう。 絹さやを選ぶポイントは、全体がグリーン鮮やかで張りあり、ヒゲが白くピンとしたものが新鮮です。また豆の数が多く、粒が小さいほど未熟なため、柔らかくおいしさを感じます。
にんにく
料理の香り付けとして幅広い料理に使われ、香りだけで食欲がそそられてしまう魅惑の野菜です。にんにくを食べると、「スタミナがつく」とよく言われますが、これは香りのもとであるアリシンがビタミンB1と結合することで、糖質を効果的にエネルギーに換えることができる成分になるといわれているためです。そのため、摂った糖質をエネルギーに換えて活動的に過ごしたい時には、ビタミンB1の豊富な豚肉とにんにくを組み合わせた料理がおすすめです。今が旬の春キャベツを使って回鍋肉や、ベーコンと春キャベツのパスタ等にしてみてはいかがでしょうか。休日の昼間にゆったりと料理を作るのもよい息抜きになります。
市販で便利なにんにくおろしですが、手作りするとまったく異なる美味しさを楽しむことができます。フレッシュのにんにくにラウデミオやディヴィーノを合わせてバーミックス(ミンサー)でペーストに仕上げます。実は栄養価も手作りの方が高く、体にも嬉しい調味料です。
美味しいにんにくの見分け方は、上から見た時1片1片のふくらみが均一で、粒が大きく重みのあるものを選びましょう。
にんにくペーストの活用方法
●パスタと和える
→お好みでバルサモ・ディヴィーノやバルサモ・ビアンコをかけていただく。
●鶏ガラやポトフなどのスープに入れる。
→コクを出すのにおすすめです!
●マヨネーズと混ぜる。
→即席アイヨリソースの出来上がりです!
よもぎ
ひな祭りのひし餅や、こどもの日の柏餅など春の行事食に欠かせない草餅。よもぎを茹でてペースト状にしたものを、蒸したもち米に混ぜ込んで作ります。硬い部分は食用できず、春に出てくる新芽の部分を食べることができます。独特の香りとほんのりとした苦味は、それだけで春らしさを感じさせてくれます。 βカロテンが非常に多く含まれており 、カルシウム、鉄といったミネラルも豊富です。 βカロテンは体内でビタミンAとして働き、花粉やウイルスが体内に入り込む入口となる、粘膜の健康維持を助けます。よもぎスコーンは、生地によもぎを加え、あずきクリームを添えた一品。栄養価は通常のプレーン味のスコーンと比較すると、食物繊維が約5倍、鉄が約6倍と大幅に栄養価が高くなります。βカロテンも摂る事ができるのも嬉しいポイント。クッキーやケーキ、パンなどの洋風の料理とも相性の良いので、ぜひお試しください。ペースト状にしたものを冷凍しておくと、いつでも混ぜ込んで使うことができます。身近にある栄養豊富な食材を料理に活用してみましょう。
パクチー
エスニック料理といえばパクチーというように、その強い香りが何とも印象的な野菜です。「パクチー」というのはタイ語で、以前は中国語で「香菜(シャンツァイ)」、英語で「コリアンダー」とよく言われていました。 タイやベトナムといった暑い国の料理によく使われていますが、暑さには弱く、とろけてしまうため、涼しい地域で栽培されています。日本でも温暖な春から初夏に旬を迎えます。 香りは葉よりも茎や根のほうが強く、葉はサラダやサンドイッチなどの生食に向いており、茎や根は刻んでカレーやスープに入れると香り豊かな料理に仕上がります。トッピングなどの脇役として使われることが多いですが、実は栄養価も非常に高く、βカロテン、葉酸、ビタミンCといったビタミンだけでなく、カリウム、カルシウム、鉄といったミネラルや食物繊維も含まれています。近年はパクチーブームにより、パクチーがメインとなったサラダや、後からどっさりパクチーをのせる料理が商品化されています。料理のアクセントとしてだけではなく、栄養を摂ることのできる野菜の一つとして選んでも良さそうです。
レシピのパクチー丸ごとサラダは、ナンプラーが効いたエスニックな一品。鶏むね肉も使用し、たんぱく質もしっかり補給できます。
もずく
古くから沖縄県ではもずくが食べられており、昭和50年代から養殖が始まりました。日本で漁獲されるもずくのほとんどは沖縄県産であり、春にそ の最盛期を迎えます。もずくといえば、ネバネバが特徴的ですが、これはフコイダンという食物繊維の一種によるものです。口当たりが滑らかなの で、食物繊維を手軽に摂ることができます。体内の免疫細胞の70%が腸に存在すると言われています。腸内環境を整え、免疫機能を高められたらいいですね。味付けもずくなどはすぐに食べられますので、常備菜としてもおすすめです。
豚肉や海鮮の代わりにもずくをたっぷりと使用したもずくのチヂミは、通常の豚肉やニラの入ったチヂミと比較して、エネルギーは約半分とヘルシーな一品。加えて不足しがちな食物繊維やカルシウムを摂る事ができる、嬉しいメニューです。
沖縄県では生のもずくが主流です。そのまま和え物にしたり、スープに入れたり、天ぷらにして食べられています。本州ではなかなか生のものは売られていませんが、見掛けた際は、手に取ってみてはいかがでしょうか。まだまだ現地を訪れることは難しそうですが、近くで購入できる地方の特産品を使って、旅気分を味わってみるのもオススメです。
新茶
夏も近づく八十八夜…という唱歌がありますが、穀雨の終わり頃、立春の日から八十八日目に摘んだお茶は縁起の良いお茶とされてきました 。 この頃には茶摘みが盛んになり、爽やかな香りと甘味、旨味の濃いお茶ができると言われています。緑茶の苦味成分は、ポリフェノールの一種であるカテキンであり、抗酸化作用があることが知られています。疲れた時は美味しいお茶を入れながら、気持ちを休め、一息つくとよいでしょう。
帆立貝と新茶のピラフは、帆立の貝柱から取っただしと新茶でお米を炊き上げる春満載の一品です。新茶には主にカリウム、葉酸、ビタミンCが多く含まれています。また、ほたてにはたんぱく質や鉄、亜鉛が豊富に含まれているため、不足しがちな栄養素もしっかりと摂る事ができます。飲み物としてはもちろん、お料理の使用にもおすすめな新茶で、春が来たよろこびを感じたいですね。
(文/グラフ デザイナーフーズ株式会社)