白露は、少しずつ空気が冷えてきて、草木に白い朝露がつく頃という意味の季節です。日中はまだ暑さが残りますが、朝夕の涼しさの中に時折 肌寒さも感じ始め、だんだんと秋の気配が深まっていきます。朝夕で寒暖の差が激しい日があったり、台風、長雨による気圧の変化により、体調を整える「自立神経」のバランスが乱れ、血液のめぐりが悪くなる事で、免疫力の低下にもつながります。この季節は、なるべく冷たいものは控え、スープなど体を温める食事に切り替えはじめましょう。さつまいもやかぼちゃ、じゃがいものスープは体を温める生姜を加えるのもおすすめです。また、豚肉や納豆はビタミンB1が豊富で自立神経を整える働きがありますので、積極的に取り入れていきましょう。
つるむらさき
つるむらさきは2000年も前から食べられていたといわれており、独特のぬめりと香りがあり、栄養価が高い食材です。最強の抗酸化ビタミンの組み合わせといわれているビタミンA、C、Eが含まれており、美容にも免疫力を高めるにも重要な栄養素になります。また、疲れたからだを回復させるビタミンB群も含むので、夏の疲れが残る季節の栄養補給におすすめです。つるむらさきは茎が硬いため、茹で方も時間差をつけるとよいでしょう。沸騰したお湯に塩をひとつまみ入れて、茎の部分をいれて約1分、そして葉先を入れて約1分茹でたあと、ザルにあげます。カロテンの吸収を高めるなら、オリーブオイルや、ごま油でサッと炒めたり、天ぷらなどの調理法がおすすめです。ビタミンCには鉄の吸収をよくする働きがあるので、レバーと組み合わせれば、貧血対策にも有効です。
ほうれん草の定番レシピであるごま和えですが、実は夏採りのほうれん草とつるむらさきで栄養素を比較すると、カルシウムは約1.5倍、ビタミンCは約2倍も差がある事が分かりました。旬の食材は美味しいだけでなく栄養価も高くなります。旬の食材で体が喜ぶお料理を楽しみましょう。
e-gohanでは春菊のごま和えをご紹介しております。春菊をつるむらさきに変えて、是非作ってみてください。
さつまいも
さつまいもは赤紫の皮と黄色の果肉をもつ「鳴門金時」や白肉種の「黄金千貫」まで、様々な品種があります。さつまいもの皮や、紫色の品種の紫色はアントシアニンといわれるポリフェノールの一種で、目の健康にもおすすめです。最近人気の黄色い安納芋はカロテンが多く含まれていますので、喉や鼻の粘膜を守る働きがあります。切るとでてくる白い液はヤラピンという成分で、豊富に含まれる食物繊維との相乗効果で、お腹のととのえる働きがあります。ヤラピンと食物繊維は、皮の付近に多く含まれているので、皮ごと食べていただくことをおすすめします。
レシピのチーズ・ダッカルビはさつまいもを皮ごと使い、鶏肉やキャベツなどもたっぷり入ったボリューム満点の一品。栄養もまんべんなく摂る事ができ、さつまいもに多く含まれる食物繊維やカリウムもしっかり補給できます。美味しいさつまいもの見分け方は、太い、細いではなく、均一の太さのものを選ぶとよいでしょう。もちろん芽が出ていないことも重要です。最近は干し芋もよく販売されていますので、おやつにおすすめです。
里芋
水分が多く、いも類のなかでは低カロリーです。カリウムが多く、むくみの原因となる余分なナトリウムを排出する働きがあります。また独特のぬめり成分は胃の粘膜を保護しながら消化を促し、腸内環境を整える働きがあります。調味料をしみ込ませる為に、ぬめりを取る下ごしらえが必要ですが、長時間火を通しすぎるとぬめりが落ちてしまうため、短時間でゆでて、ぬめりを水で洗い流すようにしましょう。意外に簡単で美味しい食べ方は、里芋をそのままオーブンで焼いてしまうこと。皮もむきやすく、岩塩やオリーブオイルをつけて、また田楽味噌をつけて秋の味覚を楽しむことができます。カリウムたっぷりの里いもと体を温める生姜を入れた味噌汁はむくみ対策にぴったりです。胃をやさしく温めて消化を促してくれるので、食欲が落ちてしまった方にもおすすめです。
レシピの里芋と酒粕のクミングラタンは、里芋の食物繊維と発酵食品の酒粕が、腸内環境を整える上でおすすめの食べ合わせとなっています。クミンシードの香りと食感が心地よいアクセントの一品です。美味しい里芋の選び方は、乾燥していないものを選ぶこと。土付の里芋はおすすめです。ゴルフボールより少し大きめのサイズは柔らかくて美味しい里芋です。食欲に乱されず、健康的に食欲の秋を楽しむためにも、旬の食材を取り入れて、体を温める習慣を試してみてください。
長尾智子さんによる里芋のコラムも是非、ご覧ください。
オレガノ
オレガノはシソ科で、スッキリとした芳香が特徴のハーブです。ヨーロッパでは、「天然の抗生物質」と呼ばれ、免疫力を高めて風邪の予防に効果があるといわれています。また、胃腸の調子を整え、消化を助ける働きがあるので、疲れた時や食後にハーブティーとして飲むのもおすすめです。 風味が強いので、パンチのきいた料理との相性がよく、肉料理、トマトなど味の濃いものと合わせると、素材の味を引き立てます。またチーズを使用したクッキーとも相性が良いハーブです。また、他のハーブやガーリック、岩塩などを混ぜた調味料を作っておくと、サラダや肉料理に気軽に振りかけて使う事ができます。彩り豊かなギリシャ風サラダは、食材をボウルに入れ調味料と混ぜ合わせるシンプルなレシピ。故に食材本来の味やオレガノの香りをお楽しみいただけます。またオレガノはデザイナーフーズピラミッドにも「がん予防が期待できる食材」として紹介されているハーブ。サラダには抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンCやビタミンEが含まれており、健康に美容におすすめのサラダです。
オレガノがフレッシュで手に入りにくい際は、乾燥を上手に使用すると良いでしょう。フレンチドレッシングにドライオレガノを加えると、より手軽にギリシャ風サラダがお楽しみいただけます。
(文/グラフ デザイナーフーズ株式会社)