冬らしい寒さを感じるようになってきました。初雪を観測したという地域もちらほらあるのではないでしょうか。小雪は陽の光も弱まり、虹を見かけなくなる頃といわれていますが、陽もすっかり短くなり、昼間の貴重な日差しを恋しく感じられるようにもなってきました。
暖房機器を使用する日も増え、空気の乾燥が気になり始める頃です。空気の乾燥は、肌の乾燥を引き起こし、肌トラブルの原因となったり、鼻や粘膜が乾燥し、菌やウイルスが体に侵入しやすくなったりします。
寒くなると水分補給をする頻度も少なくなりがちですが、のどの渇きを感じる前に水分をこまめに摂り、粘膜を潤すことを心がけましょう。また、ビタミンAの豊富なレバーや卵、体内でビタミンAとして働くβカロテンの豊富な人参、ほうれん草、春菊、南瓜といった食品を摂ることも、皮膚や粘膜を保護するのに役立ちます。
ほうれんそう
冬野菜の代表格であるほうれん草。栄養価は季節によって変動し、食味にも差があるといわれています。中でもビタミンC量と抗酸化力の差は大きく、冬のほうれん草には夏のほうれん草の約7倍の量が含まれています。ほうれん草のえぐみの原因となる硝酸イオン濃度は夏のほうれん草のほうが多く、冬のほうれん草は寒さにあたることによって、糖度が増しています。冬のほうれん草は美味しさと栄養価の両方を持ち合わせています。カルシウムや鉄といったミネラル、βカロテンやビタミンE、葉酸など各種ビタミンも豊富に含まれています。
ビタミンCは長く茹でるほど溶け出てしまい、3分以上茹でると残存率は半分以下になってしまいます。沸騰した湯の中で、茎の部分を10秒茹でた後、葉先を入れて5秒茹で、ザルにあけます。水にさらすことなく余熱で火を通すようにするとよいでしょう。
また、皮膚や粘膜を保護する働きのあるβカロテンは主要な野菜では人参の次に多く含まれており、油と一緒に摂ると吸収がよくなるため、炒め物にしたり、ドレッシングで調味したり、和え物に少量の油をたらしたりするとより効果的に摂れるでしょう。
旬のほうれん草を使用したジェノベーゼソースは、バジルで作るジェノベーゼに比べて、カリウムや亜鉛は多く、特に葉酸は2.3倍、ビタミンCにおいては3倍ほど多く摂取することができます。
トレビス
チコリーのような苦味と紫キャベツのような見た目を併せ持つトレビス。紫色はポリフェノールの一種であるアントシアニンによるもので、アントシアニンは強い抗酸化作用があり、目の健康を助けるといわれています。アントシアニンといえば、ブリーベリーや赤ワインというイメージが強いですが、トレビスや紫キャベツ、赤しそといった野菜からも摂ることができます。サラダに入れるとほろ苦さがアクセントになり、パスタや炒め物、料理を盛り付けるカップとしても使うことができます。これからのイベントシーズンに彩りとしても活躍しそうですね。
みかん
冬といえばこたつでみかん。一昔前までは日本の冬の風物詩のような光景でした。昭和の時代は一家に一台のこたつがあり、みかんで栄養補給をして、冬の寒さの中でも風邪を引かないようにしていたのではないでしょうか。
みかんのオレンジ色はβクリプトキサンチンという色素によるもので、βカロテンと同様に、体内でビタミンAとして働きます。ビタミンAには皮膚や粘膜を保護する働きがあるため、この時期、積極的に摂りたい果物の一つです。風邪予防という観点から見ると、みかんにはヘスペリジンという成分も含まれています。ヘスペリジンは血流を良くするため、生活習慣病の予防にもよいといわれていますが、血行を良くして冷えを予防する効果が期待されています。ヘスペリジンは果肉には少なく、白い筋や薄皮に多く含まれているので、必要以上に取り除かないよいにしましょう。
まるごとみかんを使用するドレッシングは、基本のドレッシングと比較して、ミネラルやビタミンを多く摂取することができます。特にビタミンCは、基本のドレッシングには含まれていませんが、みかんを加えることでビタミンCを摂取することができます。
かに
毎年11月初旬にはズワイガニの漁が解禁となり、旬を迎えます。タラバガニや毛ガニも寒い時期は身入りがよく、年末年始にかけて、カニは商戦期となり、1年の中で最も消費量が多くなります。カニは高級品というイメージがありますが、実はヘルシーな食材。高たんぱく、低脂肪であり、亜鉛やカリウム、マグネシウムといったエネルギー代謝に不可欠なミネラルも多く含まれています。なかなか生を手に入れることが難しい場合は、缶詰もおすすめです。
カニの赤い色は強い抗酸化作用のあるアスタキサンチンによるもので、紫外線から皮膚や目を守る働きがあります。血圧を正常に保ったり、血液中のコレステロールを減らしたりするタウリンも豊富に含まれています。
寒い時期は、暖かい場所との気温差により、一気に血圧が上昇しやすく、血圧の高い方は特に注意の必要な時期です。美味しいだけでなく、栄養豊富なカニを食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
(文/グラフ デザイナーフーズ株式会社)