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【少量水調理】栄養を逃さずに野菜を美味しく

少量水調理とは、野菜に含まれている水分や肉や魚に含まれる脂などを活用して、通常より少ない水分で調理することをいいます。野菜に含まれるミネラルやビタミンには、水に溶けやすい成分があります。少量水調理は、水が少ないためそれらの成分が溶け出しにくいことから、茹でる調理方法よりも栄養を逃さないという特徴があります。
当然野菜の水分だけで調理をするため、味が薄まる事もなく、野菜本来の味を強く感じ、調味料が少なくとも美味しさを感じ、減塩にも繋がります。また余計な油を加える必要もないため一般的な作り方よりもヘルシーになり、カロリーカットに繋がります。
また水を沸かすという時間が短く、調理時間の短縮にも繋がります。蓋をして鍋全体に安定して熱が加わるため、余熱で調理することが可能となり、CO2の削減にもつながります。

実際に、少量水調理が得意なクリステル浅鍋を使用し野菜を調理する事で、栄養成分がどのように変化をするかを「少量水調理」「茹でる」「電子レンジ調理」で比較して調べてみました。

小松菜

 葉野菜の代表である小松菜の栄養素の変化を「少量水調理」「茹でる」「電子レンジ調理」で比較してみました。

 Brix糖度(旨味成分などの濃度)、ビタミンCは生と比較して加熱調理をすることで減少していますが、少量水調理は、茹でる調理に比べて、残存率が高くなり、栄養素が残っていることが分かりました。

一方で抗酸化力は、生と比較して茹でると減少しますが、少量水調理は高くなります。これは、抗酸化力の成分の一つであるクロロフィルが、持ち合わせている酵素が活性化されてクロロフィルがより強い抗酸化力を発現する成分へ変化した為と推測されます。

ブロッコリーの少量水調理

① 小松菜1袋分(約200g)の株の大きさを揃える。 水で洗い、水気を切らずにクリステル浅鍋24cmにそのまま入れ、塩0.5gを加え中火で加熱する。

② 沸騰したら(約2分)返し、弱火にして3分加熱してバットに移す(余熱でも火が入る)。計5分

ブロッコリー

花蕾を食するブロッコリーは、最近消費量も増えてきた野菜の一つです。同じように栄養素の変化を「少量水調理」「茹でる」「電子レンジ調理」で比較してみました。

ブロッコリーも小松菜と同様に、生と比較して加熱調理をすることで、栄養成分が減少します。抗酸化力は、小松菜同様に、加熱をすることで抗酸化力の成分の一つであるクロロフィルが、持ち合わせている酵素が活性化されてクロロフィルがより強い抗酸化力を発現する成分へ変化し、茹で調理では338%、少量水調理においては654%、電子レンジ調理では462%まで増えたと考えられます。

美味しさの評価は、少量水調理の方が、旨みが流出していない為味が濃く、それが美味しさに繋がっています。特に、ブロッコリーにおいては、味の違いが顕著に現れました。

ブロッコリーの少量水調理

① ブロッコリー(正味300g)を小房に分ける。※大きさを揃える。
② クリステル浅鍋24cmにブロッコリー、水50ml、塩0.5gを加え中火で加熱する。
③ 沸騰したら(約2分)弱火にして4分加熱してバットに移す(余熱でも火が入る)。※計6分
※バットに移して冷めるまでに余熱でも火が入るので気持ちかためにするのがオススメ。

にんじん

根菜野菜の代表であるにんじんは、β-カロテンが多く、油と一緒に摂取することで吸収が高まると言われています。にんじんはオリーブ油を使用して少量オイルで調理をして比較をしてみました。

生の状態と比較して、少量のオリーブ油で調理をすると、栄養価は高くなります。さらにチェリーテラスがおすすめするオリーブ油「フレスコバルディ・ラウデミオ」で調理をすると、より栄養価が高くなることがわかりました。ラウデミオには栄養素が高くなるばかりではなく、素材の味を豊かに引き出す力もありますので野菜も美味しく召し上がることができます。

にんじんのオイル蒸し調理

① にんじんはヘタを切り、皮をむかずに縦半分、横半分の4分割に切る。
※底に重ならないように並べると約300g
② クリステル浅鍋24cmラウデミオをひき、中弱火で皮目から焼き目をつけるように焼く。断面にひとつまみずつ塩をする。
ラウデミオは大さじ1程度(1周まわしかけるイメージ)
※少量水調理の場合は水50ml 
③ 皮目に焼き目がついたら返し、断面を焼く。弱火にして蓋をする。(1分〜2分様子を見ながら)
④ にんじんの下部は細いので先に取り出す。上部に火が通ったら完成。

かぼちゃ

同じβ-カロテンが多いかぼちゃも栄養素の変化を「少量水調理」「茹でる」「電子レンジ調理」で比較し、オイル蒸しでテストをしました。

かぼちゃは70℃くらいの温度で酵素が活性化されて甘さが強くなると言われています。今回電子レンジ調理や少量オイルの糖度が高くなったのは、調理によって水分が蒸発した事により、濃縮されたといえます。特に薄く切った場合は、水分が蒸発しやすいので、その傾向が見られます。またかぼちゃはにんじん同様、β-カロテンを多く含む野菜の一つです。油に溶けやすい性質から、少量オイルで抗酸化力が高くなったといえましょう。ビタミンCは調理による変化があまりないも状況でした。一般的にビタミンCは加熱により損失すると言われていますが、糖と結合している場合は、加熱による損失は少ないといわれています。かぼちゃのビタミンCは糖と結合していることから、調理による減損失は無かったと考えられます。

かぼちゃのオイル蒸し調理

① かぼちゃは1cmの厚さに切る。
※底に重ならないように並べると約200g
② クリステル浅鍋24cmに十分に熱してからオイルをひき、かぼちゃを入れる。
※水を垂らしコロコロするまで熱する。かぼちゃはしっかり熱してから入れないとくっついてしまいます。
ラウデミオは大さじ1程度(1周まわしかけるイメージ)
※少量水調理の場合は水50ml
③ 焼き目がついたら返し、弱火にしてふたをする。
④ 串を刺して火が通ったら完成。

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野菜が持つ性質によって適切な調理方法があると言えますが、少量水調理や少量オイル調理は、野菜の栄養成分を高めることができ、美味しさを引き出す調理方法と言えます。是非、ご家庭で野菜の美味しさをお楽しみください。

【参考】
加熱あるいは酸処理したほうれんそうのchl類の変化はHPLC法で追跡した。100℃加熱や酸処理で生じたフェオフィチンやフェオフォルビドなどのchl誘導体はその活性を著しく低下した。一方、65℃加温では、葉体に内在する酵素が活性化されchlからフィチール基の離脱した反応条件によってはchl aより強い抗酸化性を発現するクロロフィリドが多量に生成・蓄積された。これらのことは、ポルフィリン環にあるフィチール基やMgの抗酸化活性への関与、過度の酸あるいは熱処理は食用植物に不活性なchl誘導体を生じる危険性のあること、また適切な調理加工を行うことで食用植物の抗酸化機能を強化できることを示唆した。

幡手英雄  宮崎大学, 農学部, 教授