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旬の時期
8, 9, 10月
和名漢字 葡萄
和名ひらがな ぶどう
和名カタカナ ブドウ
英名 grape
仏名 raisin
伊名 uva
ぶどうを材料に使ったレシピ
5件のレシピが見つかりました。
Cherry Terrace Official Site
ブドウ科のつる性落葉低木。現在、世界で広範囲で栽培され、生産量が最も多い果実。原産地はコーカサス地方から地中海東部沿岸にかけての地域で、りんごやざくろなどとともに世界最古の果実のひとつ。旧約聖書や世界最古の文学作品といわれるバビロニアの『ギルガメシュ叙事詩』にその名があり、紀元前3世紀ごろ(5000年以上前)にはカスピ海南側で栽培が始まったと推定される。古代エジプトでは第5〜6王朝時代(紀元前2494〜2181年ごろ)にはワイン醸造も行われていたことが壁画などからわかる。これがヨーロッパ系ブドウのルーツで、ギリシャを経てヨーロッパ全域に伝わり、紀元前2世紀ごろには中国へ、紀元前620年ごろにはインドへ伝えられ、伝播の過程、栽培法などにより多品種ができた。北アメリカにも古くから野生種があったが栽培化せず、16世紀にヨーロッパ系ブドウが伝わり、17世紀には栽培が盛んになって在来のアメリカブドウ(ラブラスカ種)との交配が行われた。現在ではカリフォルニア州がヨーロッパ系ブドウの主産地となった。日本にも野生種があり、『本草和名』(918年)や『倭名類聚抄』(934年ごろ)などにエビヅルまたは山ぶどうの古名、エビカズラの名があり、平安時代(794〜1191)末期には山ぶどうが栽培されていた。ヨーロッパ系ブドウは中国から渡来したもので、1186年に甲斐国(現・山梨県)で発見された(甲州ぶどう)。この名はギリシャ語のbotrus、またはフェルガナ(ウズベク)語のbudawを中国で葡萄(ブウタオ)と音訳したものが日本に導入され「ブダウ」になった。栽培の歴史は鎌倉時代(1192〜)初期に始まり、江戸時代(1603〜1867)初期には棚式栽培法が入ってきた。明治時代(1868〜)になるとヨーロッパやアメリカから多くの優れた品種や栽培技術が導入されたが、高温多雨の日本の気候には向かず、栽培を成功させるのは難しかった。しかし政府がガラス張りのブドウ栽培用の温室を兵庫県につくり、温室栽培を積極的に奨励したことにより、栽培が本格化した。1886(明治19)年にはガラス室を建てた岡山県の栽培家が根元は室外、枝は室内にのびるような植え方をし、さまざまな努力を重ねた結果、1888(明治21)年にマスカット・オブ・アレキサンドリアの栽培に成功した。これが岡山県のブドウ栽培の最初であり、以来、岡山県を中心にガラス温室栽培が定着した。世界の主産地はイタリア、フランス、スペイン、アメリカ、旧ソ連、トルコなど。2008年の世界の総生産量は、日本が約21万tなのに対し約6771万t(総務省統計局『世界の統計 2010年版』)。世界の主たる栽培目的はそのほとんどがワイン用だが、日本では生食用が9割を占めている。しかし近年は日本でもワイン用栽培がやや増加傾向にある。日本では全国で栽培され、主産地は山梨県、長野県、山形県、岡山県、北海道、福岡県の順。果実の開花期は5〜6月で、茎が変化した巻きひげに多数の小さい花が房状に咲く。その後花弁が落ちると果実を房状につける。果実の形は主として球形だが、長球形や卵形もあり、房や粒の大きさ、肉質、甘みや酸味、香り、成熟期、皮のむきやすさなどは品種によって異なる。果皮の色も黒紫、紫、赤紫、黄緑色とさまざまで、品種によってはフォクシー香(マスカット香)といわれる特有の甘い香りがある。果実には本来種があるが、1958年ごろにジベレリン(成長調節物質の一種)の水溶液につぼみを房ごと浸すことで(ジベレリン処理)、早く熟し、甘みが強い種なしデラウェアを開発。今ではキャンベル、マスカットA、巨峰なども種なしが増えている。一般に、暖地産は果実が成熟して食味がよくても高温のため十分着色せず、冷涼地産は着色しやすいが、酸味が強いという傾向がある。ハウス栽培は4〜7月、露地栽培は8〜10月に出回り、旬は9月。アメリカ、ニュージーランド、チリ、台湾などからの輸入ものも含めると、ほぼ通年市場に出回る。ワイン以外の加工品は、完熟果実を乾燥させた干しぶどう(レーズン)、ストレートジュースや濃縮還元ジュース、ジャム、シャーベット、缶詰など。世界の品種は1万種以上とも1万6000種以上などともいわれ、ヨーロッパ系ブドウ、アメリカ系ブドウ、欧米雑種ブドウ(ヨーロッパ系とアメリカ系を交雑した雑種のブドウ)の3つに分けられ、ほかに野生種もある。
【ヨーロッパ系ブドウ】最も多く栽培されている系統。ワイン醸造用品種がほとんど。生食用は果肉がやわらかく、フォクシー香のあるものが多い。一般に果皮は薄くて果肉と離れにくいので、欧米では品種によっては皮ごと食べる。本系統は乾燥に強いが雨にあたると果実が割れやすく、病気に弱いので日本の気候に適した品種は限られ、現在日本で栽培されている主な品種は以下の通り。
●マスカット・オブ・アレキサンドリア(ガラス温室栽培) 生食、ワイン醸造用。房は大きく、果実は大粒で長円形。果皮は非常に薄く、黄緑色で熟すと淡黄色になる。肉質は締まり、やわらかい甘さ、さわやかな酸味があり、多汁。フォクシー香があるあ。主産地は岡山県。成熟期は7〜10月。
●グロー・コールマン(ガラス温室栽培) 生食用。原産地はコーカサス地方。房は大きく、果実は大粒で球形。果皮は薄く、黒紫色。味は淡泊で多汁。香りは淡い。最も晩生種で、マスカット・オブ・アレキサンドリアが出終わった12〜2月ごろに出回る。
●甲州(露地栽培) 生食&醸造用で、最初に発見されたのは1186年。近年は代表的な白ワイン原料となり、良質のワインができる。房は中ぐらいの大きさで細長く、果実は中粒で楕円形。果皮は薄紫色、果肉は赤紫色でやわらかい。甘み酸味ともやや強く、特に種のまわりに酸味がある。主産地は山梨県。晩生種で10月上〜中旬に成熟するが、産地では9月下旬〜10中旬に収穫し、翌年の正月すぎまで保存する。
●ネオ・マスカット(露地栽培) 生食用。マスカット・オブ・アレキサンドリアに甲州三尺を日本で交配育成した改良種。ヨーロッパブドウとしては病気に強く、雨にも抵抗性があり、日本のマスカット系品種の中で唯一、露地栽培ができる。房は大きく、果粒はやや大粒で短楕円形。果皮は淡黄色から黄白色。肉質はやや締まり、酸味はわずかで甘みが強く、多汁。フォクシー香がある。主産地は山梨県、岡山県、香川県など。成熟期は9月中旬だが、ハウス栽培ものは6月から出荷。
●甲斐路(露地栽培) 生食用。ネオ・マスカットとフレームトーケーを日本で交配育成した改良種で、耐病性は弱い。房は大きく、果実は大粒で卵形。果皮は薄く、透明感のある紅色。果肉はやや締まり、甘みは強く、酸味は少なくて美味。香りは少なく、果皮と果肉とは離れにくい。主産地は山梨県。晩生種で9月下旬〜10月上旬に成熟する。
●ヒロハンブルグ(露地栽培) 日本で交配育成した比較的新しい品種で、第2のマスカットといえる。房は大きいがネオ・マスカットより小さく、果粒はやや大粒で円錐形。果皮は紫色で、厚くて強い。肉質は崩れやすいがやや締まり、酸味の減少が早く、美味。フォクシー香はわずか。11月ごろに出回る。
【アメリカ系ブドウ】 湿潤な気候でも栽培でき、病気に強い。果実は果皮が厚くて果肉と離れやすく、フォクシー香がある。醸造用としてはヨーロッパブドウに劣り、主に生食、ジュース原料にされる。主な品種は以下の通り。
●コンコード 果汁用。1843年にマサチューセッツ州で野生種から選抜された品種で、日本へは1868(明治元)年に導入され、かつては生食用や赤ワインの原料だった。房は中ぐらい、果粒は黒紫色で球形。熟すと白い粉をふく。肉質はやわらかく、甘み、酸味とも中ぐらいで多汁。フォクシー香がある。耐寒性は強い。主産地は長野県、山形県で、全生産量のほとんどを両県で担う。成熟期は9月中〜下旬。
●ナイアガラ 生食、ジュース用。日本へは1893(明治26)年に導入された。房は中ぐらい、果粒は黄緑色で球形。果肉は甘みが強くて酸味は少ない。フォクシー香が強い。肉質は普通だが、耐病性、耐寒性は強い。主産地は長野県、北海道。成熟期は長野県が9月。
●スチューベン 生食用。厳密には欧米雑種だが、アメリカで育成されラブラスカ種的な品種なので本系統に分類される。日本へは1955(昭和30)年に導入。房は円筒形、果粒はやや赤みを帯びた黒紫色で球形。粒が密着している。果肉は塊状で甘みが強く、フォクシー香がある。耐雨性、耐病性が強い。主産地は岡山県。成熟期は9月下旬〜10月下旬。
【欧米雑種ブドウ】 ヨーロッパ系ブドウとアメリカ系ブドウの長所を持ち合わせ、雨や寒さ、病気に強い。アメリカをはじめ世界各地で栽培され、大正末期以降、品種改良によって優良品種が多く作られている。日本の栽培の中心を担い、主に生食、ジュース原料にする。主な品種は以下の通り。
●デラウェア 生食、ワイン醸造用。アメリカで発見された欧米雑種で、日本へは1882(明治15)年に導入。房は小さく、果粒は赤紫色で球形。粒が密着している。果皮は薄くて強く、果肉は甘みが強い。フォクシー香はなくクセもない。ジベレリン処理により種なし栽培が大部分。主産地は山梨県、山形県、大阪府、岡山県。早生で、露地栽培の成熟期は7月下旬〜9月中旬だが、ハウス栽培ものは4月から収穫する。
●巨峰 生食用。日本で育成された欧米雑種で、マスカット・オブ・アレキサンドリアとともに人気が高い。房は大きく、果実は大粒で逆卵形。果皮は黒紫色。果肉は緑色で肉質はやや締まり、果皮は果肉から離れやすい。甘みが強く多汁で、フォクシー香がある。露地ブドウとして最高級で、世界に誇れるが、欠点は粒が落ちやすく、日持ちが悪いこと。ジベレリン処理により種なし栽培も行われている。栽培面積は、デラウェアを抜いて第1位となっている。主産地は長野県、山梨県、福岡県、愛知県など。成熟期は8月下旬〜9月上旬で、露地栽培ものは8〜10月に大量に出荷されるが、加温栽培ものは5〜7月、ハウス栽培ものは初夏に出回る。
●キャンベル・アーリー 生食、ワイン醸造、ジュース、ジャム用。アメリカで育成され、日本へは1897(明治30)年に導入。房は中ぐらい、果粒は黒紫色で球形。粒が密着している。果皮と果肉の肉離れはよい。果肉は塊状でかたく、甘みが強くて酸味もやや強く、濃厚。果汁も黒紫色で多汁。フォクシー香が強い。デラウェアや巨峰と並んで、日本で多く栽培される品種のひとつで、耐寒性、耐病性が強い。全国で栽培され、主産地は岩手県、北海道、青森県、秋田県、岡山県など。成熟期は西日本では8月上〜下旬、東北、北海道では9月中〜下旬だが、ハウス栽培ものは7月初めから出荷される。
●ピオーネ 生食用。日本で育成された巨峰の改良品種。巨峰によく似ているが、房も粒も巨峰より大きい。果粒は黒紫色で短楕円形。果肉は緑色で締まり肉質はよい。甘みは巨峰より強く、酸味は少なく、多汁。軽いフォクシー香がある。巨峰同様に日持ちは悪いが、巨峰より粒が落ちにくい。ジベレリン処理による種なし化が可能になった。主産地は岡山県、山梨県、広島県。早生種で、成熟期は8月下旬〜9月上旬。
●マスカット・ベーリーA 生食、ワイン醸造、ジュース、ジャム用。日本で育成された欧米雑種。房は大きくてやや長く、果粒はやや大粒で球形。果皮は黒紫色。肉質はかたさがほどよく、甘みが強くて美味。フォクシー香は少ない。ジベレリン処理による種なし栽培が増加している。主産地は山梨県、兵庫県、岡山県、福岡県、広島県など。成熟期は9月中〜下旬。
◇栄養成分 主成分は糖質で、ブドウ糖と果糖の割合がほぼ1対1の品種が多く、100g当たりのブドウ糖と果糖の含有量は果物中最大。糖質は体内ですぐエネルギーに変わるので疲労回復、病中病後の栄養補給に有効。酸味は主に有機酸の一種の酒石酸とリンゴ酸。有機酸はコレステロール値を下げる働きがあり、酒石酸は腸内を弱酸性にして結腸ガンを防ぐと考えられている。その含有量は品種によって異なり、デラウェアに多い。皮や種には抗酸化物質や血栓ができるのを防ぐポリフェノールが含まれ、脳卒中や心臓病、白内障、肌の老化予防に役立つ。赤ワインが体にいいといわれるのはこのためである。ビタミン類、ミネラルは少ないが、利尿作用やむくみを取る効果のあるカリウムを含む。果皮の表面の白い粉はろう状物質(果粉)で、果実の水分が排出されるのを防ぎ、新鮮さを保つ役目をしている。渋みのもとはタンニンで、ペクチンも多い。種から絞った油にはリノール酸とオレイン酸が含まれ、血中の悪玉コレステロールを減らして動脈硬化を防ぐ。またデラウェアは特にレスベラトロールという強い発ガン抑制作用のある物質を含む。漢方的には肝機能、腎機能を高め、むくみを解消し、気力を補い、血行をよくする働きがあるという。根やつるは筋肉痛や吐き気を治すのに、葉はむくみ、利尿などに用い、はれものには葉を外用する。
*赤ワインはぶどうを丸ごと発酵させるのでポリフェノールが多く、発酵中に新たなポリフェノールが生成されるため、年代ものにはポリフェノールがたっぷり含まれている。1日にワイングラス2杯が適量。
◇選び方 粒がそろい、果皮に張りがあってキズがなく、白い粉を吹いているものにする。房はしっかりし、持ち上げても粒が落ちないもの、茎は太く、みずみずしい緑色をしているのが新鮮。逆に茎が細く、黒褐色になったものは鮮度が落ちているといえる。一般に黒紫色や赤色系の品種は皮の色の濃いものが、黄緑色系の品種は黄白色のものにすると味も香りもよい。房元に近いほうに酸味があるので、試食できるときはそのあたりの粒を食べて甘みを確認する。
◇扱い方 果皮の白い粉が気になるなら、ボウルに水を張り、酢かレモン汁を数滴たらし、軽く振り洗いしたあと、水で洗う。洗うときは軸を持って振り洗いをし、流水でよく洗い流す。
旬の時期
8, 9, 10月
和名漢字 葡萄
和名ひらがな ぶどう
和名カタカナ ブドウ
英名 grape
仏名 raisin
伊名 uva
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