れんこん

スイレン科。原産地は中国、エジプト、インドなど諸説があるが、中国の揚子江流域説が有力。日本には鎌倉時代(13世紀ごろ)に渡来したといわれるが、蓮田を用いた本格的な栽培が行われるようになったのは明治末期以降。煮物、きんぴら、炒め物、てんぷら、酢ばすなどにするのが一般的な食べ方で、加工品としては、ゆでたれんこんの通気孔にからしみそを詰め、衣をつけて揚げた熊本の芥子蓮根(からしれんこん)が有名。葉柄に通じる穴が10個あり、古くから｢見通しがきく｣という意味で縁起がいいとされ、慶事の供物に用いられる。食用にするのは、水面下の土中の種れんこんから伸びた地下茎の先端部が夏から秋にかけて肥大したもの。別名、はすといい、独特の歯触りがおいしさの大きな要素になっている。漢方では強精強壮作用、鎮咳作用、止血作用があるという。胃弱の人は鶏ひき肉にれんこんのすりおろしを加えただんごをゆで、しょうがじょうゆで食べたり、絞り汁をそのまま飲む方法が有効。現在の品種は、近畿以西は食用専用の中国系、近畿以東は在来系が主に栽培されている。収穫は初夏から始まり、晩秋～初冬が最盛期で翌春まで続く。 ◇栄養成分　主にでんぷんで、糖質を含む。ビタミンCが比較的豊富だが、たんぱく質、ミネラル、食物繊維などは少ない。れんこんを切ると、切り口が黒ずんでくるのはポリフェノールによるためで、この成分は炎症を鎮めたり血管や組織を収縮させて止血に役立つ。節は利尿作用がある。 ◇選び方　まっすぐで節が少なく、キズのないものにする。 ◇扱い方　切り口が褐色になりやすいので、切ったらすぐ酢水につける。ゆでるときも、酢少々を入れるとアクが止まって白く仕上がり、歯触りもよくなる。保存は、切り口が空気に触れないよう、ラップフィルムをぴったり貼りつけるようにして包み、冷蔵庫へ。節がついたままなら、湿らせた新聞紙に包んでからポリ袋に入れる。